イーデント歯科室の治療:トピックス・外傷歯;前歯ハセツ歯への対応
小学生の前歯ハセツ
打撲により歯冠中央からハセツ
X線像では歯髄の先端がハセツ面にあり
破断面に露出する歯髄
断面に露出する歯髄(裏側から)
中切歯ハセツ片(表側)
中切歯ハセツ片(断面)
浸出液が出ているのが確認され、当日の接着は諦めてCa(OH)2の貼付(歯髄部分のみ)
水酸化カルシウム製剤を保護するように歯科用セメントに拠り断面を仮に封鎖し感染予防
1週間後セメントをきれいに除去;断面乾燥
ハセツ片の歯髄面を一層削除後接着
歯髄が生きたまま歯冠の回復成功です
綺麗な仕上がりも歯面の茶渋が玉に瑕です
*生まれたての中切歯の神経を取ってしまったら、その後この歯を早期に失う確立が高くなります。 当日単純に”えい、やあー”とくっつけるのを回避したのは、歯髄からの浸出液が観察されたからです。 出血はなくとも液状成分が介在すると硬化した接着材に目に見えない隙間ができ、マイクロリーケージという持続的微小漏洩が惹起され必ず歯髄に細菌感染がおこります。 このようなケースでは露出した歯髄断端に痂皮形成がなされた後はじめて接着操作をしたのがポイントです。 繊細な手技など小3の男の子には理解不能ですが泣かずに平気だったのは感心ものでした。 脱臼をしなかったのも非常にラッキーでした。
*なお、自発痛が認められる場合は不可逆的な歯髄感染と考えられ、残念ながら”神経”は保存できないようです。
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大人の前歯ハセツ
先端のハセツ
破断面にピンポイントで露出する歯髄
中切歯ハセツ片(裏側)
レーザーにより露髄面を焼却
炭化した露髄面
当日接着;ハセツ部は白濁
1週間後の色調
交通事故の転倒打撲による前歯のハセツ
歯冠約1/4のハセツと歯肉の炎症
側方からの歯冠ハセツの状態
製作されたオールセラミッククラウン(単冠)
治療終了時の前面観
*
治療開始時の前歯;打撲でお顔もアザ多数
生活歯のまま形成(型取り前)
製作されたオールセラミッククラウン
製作されたオールセラミッククラウン内面
セット時のラバーダム防湿
治療終了時の口元
治療終了時の咬合面観
交通事故被害者の治療等で損害賠償保険が利用される場合、歯科においては何故かより難しい治療になったり不必要に範囲が広がる傾向を感じます。 歯科の月刊誌にも、事故で失った5本の前歯に対し、3本のインプラントで済ませるほうがよっぽど綺麗に仕上がるようなケースでも、ここぞとばかり5本を埋入して、かえって製作の難しいまったく審美的とは言えない修復をおこなっている発表例を見ましたが、患者さんが”タダ”でなければこのような診断と処置を採用していたか疑問です。。。外傷のあった前歯もすべて抜く必要があったでしょうか? 見た目を気にされる弱みがある場合に患者さんを誘導することは簡単でしょうが、長い一生のスパンで、美しさも・機能も・耐久性もできるかぎり復活させてあげたいものです。 審美に特化しているようでぜんぜん上手でもないのに美容歯科を看板にかかげ、すぐ神経を抜いたり、詰め物(充填)で済むのに歯をまるごと削ったり、しかもかぶせた歯が隙間だらけとか、何を考えてるか分からないところもありますがほんとうに困ります。 9割(99%?)の先生はまともなのですから一部の方が歯科医療の名誉を傷つけてはなりません! なお、上記の患者さん方は治療後もちろん笑顔でした。
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